東京メトロ銀座線「外苑前」駅より徒歩約4分のビルの2階に店を構える。この店で味わえるのは、鮎やジビエ、山菜といった天然食材を用いた季節ごとのコース料理。店主とのカウンター越しの会話を楽しみながら、滋味深い山の食材を心ゆくまで味わいたい。
平均予算:30,000円〜
平成16(2004)年/調理師科2年コース
小鶴 清史 氏店主
1984年、熊本県人吉市出身。ナカムラを卒業後、「吉華」(上野毛)で修業をスタートし、3年半ほど過ごす。その後、日中は「新中国家庭料理 浅野」(麻布台)、夜はバーという日々を4年ほど送るが、このままでは駄目だと一念発起し、自分なりの料理を模索。漁師である父が獲った鮎を主役にする店を出すことを決意し、禁漁の時期の主役としてジビエ料理を学ぼうと「またぎ」(西麻布)へ。料理長も経験するなど4年ほど研鑽を重ね、2017年5月、南青山に『たでの葉』を開業した。
――料理人を志したきっかけを教えてください。
――卒業後はどちらで学ばれましたか?
卒業後は東京・上野毛にあった四川料理の「吉華(きっか)」に入社しました。「吉華」で働きたいと思ったのは1年生の夏休みには決めていましたね。というのも、当時ナカムラで中国料理を担当していた井本和幸先生の著書を読んでいると、「吉華」のオーナーシェフである久田大吉さんのことが書かれていて、ナカムラにも特別講師として教えに来てくださっていました。夏休みの校外実習で「吉華」に行かせていただき、麻婆豆腐の味に感動!福岡に戻ってからはすぐに中華料理の店でアルバイトを始め、卒業と同時に上京。3年半ほど「吉華」で働かせていただきました。
東京でいちばんになりたい!という想いはあったものの、その後はアルバイトで働く日々。日中は中華料理、夜はバーという生活を4年ほど続けていましたが、このままだと駄目だと一念発起。これまで学んできた中華をはじめ、フレンチやイタリアンなどは競争も激しく、自分にしかできない料理、自分だからできる料理は何かを考えた結果、熊本・人吉で鮎漁をしている父の鮎で勝負しよういう思いに至りました。ただ、鮎は禁漁期間があり、その時期の食材を使った料理を学ぼうと、ジビエや山菜、キノコなどの山の食材を使う「またぎ」(西麻布)へ。4年ほど学ばせていただきました。
――『たでの葉』はどのようなお店ですか?
日本全国へ足を運び、生産者と直接お会いして出会った山や川でとれた天然食材を、炭火焼きというシンプルな調理法で味わっていただくお店です。春は山菜、夏は鮎、秋は茸、冬はジビエといった具合に、その時期に入荷する食材でコースを組み立てていきます。とはいえ、炭火で焼くといっても、食材や部位ごとに火の入れ方は異なります。一串一串をじっくり見極め、ベストな火入れをめざします。また、鮎を味わっていただけるのは6月から11月ごろ。天然ものはサイズもまちまちなので、こちらも火加減を調節しながらじっくりと焼いていきます。
――最後に。今後の展望を教えてください。
オープンから数年経ち、食材や料理の内容、お客様の層も変化してきました。オープン当初は8,000円だったコースの料金も、現在は27,500円です(2024年5月現在)。全国各地に鮎やジビエといった山の食材を主役にしたお店はいくつかあるものの、東京でこのスタイルのお店はまだありません。今後もさらなる高みをめざし、食材や料理をより研ぎ澄ませていきたいと考えています。
——ありがとうございました。
私自身、熊本から福岡に進学し、卒業後は福岡を出て上京しました。福岡に居続ける選択肢もありかとは思いますが、一度、外に出ることでさらに世界が広がると思います。東京、さらには世界を見ることで人生観が変わりますよ。そして、日本の食材にはものすごく可能性があると感じます。若い皆さんには世界に目を向けてほしいと思います。頑張ってください。