店舗紹介 Locations

エヌプラス > 店舗紹介 > 踊るカンパニオ > インタビュー

踊るカンパニオ

オーストリアでの修業経験を活かしたドイツ系パンと、味噌入りあんパンなど遊び心のある創作パンが人気のベーカリー。“パンを分け合う人”を意味する「カンパニオ」に、村上春樹作品から着想を得た「踊る」を冠した店名には、修業時代を経た店主・吉田祥武さんの人生観と、パンづくりへの情熱が込められている。

九州 パン
  • #熊本県
  • #阿蘇
  • #西原村
吉田 祥武

平成26(2014)年/製菓技術科(2年)

吉田 祥武 氏オーナーシェフ

1993年、熊本県玉名市生まれ。中村調理製菓専門学校在学中はサッカー部に所属しながら、製菓・製パンの基礎を学ぶ。中村調理製菓専門学校を卒業後、神戸・鎌倉・福岡のベーカリーで経験を積み、2019年からはオーストリアの小さな村にある老舗ベーカリーで3年半修業。帰国後の2024年3月、地元・熊本県で『踊るカンパニオ』をオープン。

 

――パン職人を志したきっかけを教えてください。
小学生の頃から料理やお菓子作りが好きでした。スイーツポテトなどを作って家族にふるまっていました。喜んでもらえることが嬉しくて、自然とこの世界を志すようになりました。
 
――ナカムラを選んだ理由は?
高校の先生の勧めがきっかけです。先輩たちも多く進学していて、オープンキャンパスに参加したときの雰囲気がとても良く、設備も整っていたので「ここで学びたい」と思いました。
 
――学生時代で印象に残っていることは?
当時はナカムラのサッカー部に所属していて、調理師科の学生とも学科を超えて交流がありました。学生寮での生活も含めて仲間と過ごした時間は、今でも大切な思い出です。
 
――卒業後のキャリアを教えてください。
最初に就職したのは神戸のベーカリーです。最初の2年半はパンに一切触れられず、洗い物や仕込みばかりの日々。ようやく最後の半年で製造に携わらせてもらいました。その後、紹介で鎌倉のベーカリーへ。2名体制の職場だったため、製造全般を任されるようになり、理論と実践の両面からパンづくりを徹底的に学びました。働きながらドイツ語教室にも通い、ヨーロッパでパンを学びたいという想いが次第に強くなっていきました。その後九州に戻り、福岡の老舗ベーカリー「サイラー」で働かせてもらいました。そこで店主に相談したところ、「実家が人手不足だから」と、オーストリアのベーカリーを紹介していただき、渡航を決めました。

――オーストリアでの修業はいかがでしたか?
サイラーさんのご実家である、小さな村のベーカリーで3年半働きました。プレッツェルやカイザーゼンメル、ライ麦パンなど、現地で日常的に親しまれているパンを毎日焼いていました。現地では、パンは“おにぎり”のような存在で、朝昼晩の食卓に当たり前に登場します。ちぎってスープに浸したり、サンドイッチにしたりと、暮らしに根づいていることを実感できました。最初は言葉も文化も違って戸惑いましたが、地元のサッカーチームに入ったことで一気に地域に溶け込め、人とのつながりもできました。
 
――帰国後、開業するまでの経緯を教えてください。
2022年秋に帰国し、すぐに現在の物件と出会いました。もともと地元で開きたいという気持ちがあったので、物件を見た瞬間、「ココしかない」と直感! 一人で無理なくやっていけるちょうどいい規模は、週末営業を前提にしていた自分にとって、ぴったりの環境でした。準備も順調に進み、2024年3月にオープンしました。
 
――お店のコンセプトを教えてください。
“ちょっとした驚きと楽しさ”をパンに込めています。たとえば、あんパンに味噌を入れたり、クリームパンにアーモンドクリームを重ねたり。馴染みのあるパンに一工夫を加えることで、「おっ」と思ってもらえることを意識しています。
 
――これまでで嬉しかった出来事は?
地元の小・中学校時代の友人や恩師が来てくれることですね。この店があったからこそこそ再会できた人たちがいて、拠点を持つことの意味を実感しました。
 
――今後の展望を教えてください。
いずれはサンドイッチ専門店を開きたいと思っています。神戸での修業時代、サンドイッチを作る機会が多く、褒めてもらえたことで自信につながりました。これまでの経験を活かして、次のチャレンジをしたいと思っています。
 
——ありがとうございました。

 

ナカムラで出会った仲間たちは、今でもかけがえのない存在です。卒業して10年以上経ちますが、同じ業界で働く友人たちとは、悩みを相談し合ったり、刺激をもらったりする関係が続いています。技術や知識はもちろんのこと、そうした友人関係を育むことが、この道を続けていくうえで大きな力になっています。

 

 

pagetop