ナカムラ卒業後は東京都内での修業を経て渡仏。3つ星レストランなどで丸3年研鑽を重ねる。その後、ブーランジェリーやパティスリーで経験を積み、再び料理の世界へ。帰国後は代官山の1つ星「ル・ジュー・ドゥ・ラシエット」のシェフに就任。その時代から2015年に「ル スプートニク」をオープンして以降も10年連続でミシュラン1つ星を獲得し続けている。「自分の力がどれだけ通用するのか、海外で試したいという想いがあるので、自分らしい料理をつくることを強く意識しています」と髙橋雄二郎さん。パンやスイーツの世界も経験してきたからこそ、独創的な料理を生み出すことができるのだろう。一方で、便利な調理器具に頼らない、手仕事への思い入れを強く持つ。「寿司の世界では、機械と手に歴然とした差がありますよね。フランス料理も、手でやった方が絶対に美味しいんです」。綿密な計算と研ぎ澄まされた技によって生み出される髙橋さんの料理が、世界中の美食家に愛される日もそう遠くはなさそうだ。