――お2人が料理人をめざしたきっかけを教えてください。
亮太さん:料理屋をしていた叔父の影響で料理人をめざすようになりました。夏休みになるとお手伝いをしていたのですが、それが面白くて。料理に向かう叔父の姿が格好良かったですね。
リエさん:家のお手伝いや居酒屋でのアルバイトの経験から、料理を通じて人に喜びを与えられることに魅力を感じるたことがきっかけです。
――それぞれ学生時代を振り返るといかがでしたか?
亮太さん:先生との距離がとても近かったですね。叱られることもあれば、褒めてもらえることもありましたし、実習の時には残って個別に指導していただきました。ラスト2カ月は、遅刻しないようモーニングコールをしていただくなど、先生のお陰で卒業できました(笑)。
リエさん:主人と違って私は真面目な方で(笑)、充実していた2年間を過ごせたと思います。アルバイトしてお金を貯めては、いろいろな店に食べに行きましたし、図書館に通って料理の本や雑誌を読んでいました。学校に通い出したことで、料理への探究心にスイッチが入りましたね。
――店名の由来を教えてください。
亮太さん:これまで料亭や懐石料理でアラカルトのない店ばかりで修業を積んできましたが、自分たちの店ではアラカルトも用意して新しいスタイルで和食を提供したいと考えました。ゼロからはじめるという意味で、『和外伝 ぜろ』としています。
――どのようなシーンで利用されることが多いのでしょうか。
亮太さん:実際、コースとアラカルトは半々で、地域に住む方から会社の接待まで幅広く利用されています。関西で修業したこともあって結構薄味で、年配の方にも合う料理をご提供させていただいています。とはいえ、修業した店よりはリーズナブルにしているので、安心してご利用いただけると思います。それでも本格的な懐石料理を提供しているという自負があります。お酒に合わせた料理はもちろん、還暦のお祝いやお子様のお誕生日にも対応しています。いろいろな用途で本格的な懐石料理を味わって欲しいですね。
リエさん:若い方にも来ていただきたいと思っているんですよ。和食の魅了を知っていただきたいという考えがあるので、気軽な気持ちで来ていただけたらと思っています。
――これからの目標を教えてください。
亮太さん:もともと地域に根ざした商売がしたいと思っていました。2人とも内向的な性格なので、長く細くやっていける場所で落ち着いた感じで商売をしていく方が自分たちに合っているのではと思っていたところ、現在出店している街に出会いました。最初は、「自分たちの店ができた」と思っていましたが、店を構えて10年を超えた今、店があるのは自分たちの力だと思っていません。地元の商店街、商工会の方々に支えていただいていますし、家族やお客様の協力があったからこそ今があります。ここまで来たら、もう自分たちの店ではなく、この街の、お客様の店、という感覚がありますね。
リエさん:お客様にとって〝無かったら困る〟と思われるような店になりたいと思いますし、もっと進化していきたいですね。古いものは守りつつ、新しく進化していくことで、いつ来ても新鮮さがある店だと思っていただけるよう努力したいと常々思っています。
――ありがとうございました。