——村上さんが食の世界を志したきっかけを教えてください。
高校時代に飲食店でアルバイトをして料理の世界に興味を持ちました。ほかに興味が持てるものが出会えなかったんですが、料理だけは興味が持てたのでナカムラに進学することに決めました。
——学生時代の思い出はありますか?
バスケットボール大会で優勝したことが思い出に残っています。同じチームに二宮英樹くん(「いろどり野菜ビュッフェ NINO」店主)がいたんですけど、彼がとても上手でしたね。
——卒業後はどのような経験を積まれたのでしょうか。
「スイートバジル」で2年、「イルボッコーネ」で3年学ばせていただき、イタリアへ渡りました。イタリアに行くことを決めたのは、ナカムラ在学中の研修旅行がきっかけです。早く行きたいと思っていたのですが、「イル ボッコーネ」時代に「イタリアに行くんだったらイタリア語や食材のことをもっと覚えてから行った方がいい。うちで2、3年頑張れば1つだけ紹介できるレストランがある」と言っていただき、3年後、ピエモンテ地方のレストランを紹介していただきました。
——10年間、同じ店で修業されたのは、どのような理由があったのでしょう?
私が修業させていただいたのは、ピエモンテのケッタタローナ村にある「トラットリア・イ・ボローニャ」という伝統料理のお店です。伝統料理を学ぶのであれば、10年はいる必要があると考えました。2年くらいで帰国してピエモンテ料理をやっても、イタリア人に胸を張って出すことができませんからね。村の行事や季節の食材、料理など1年のサイクルを10回経験し、イタリアの文化や料理を身体で覚えました。
——『デルマーレ』はどのようなお店ですか?
10年間のイタリア修業で培った本場のイタリア料理をご提供しています。中洲という場所柄、イタリア料理への造詣が深い方もいらっしゃれば、そうではない方もいらっしゃいます。ピエモンテ料理をご存知の方にはとことんピエモンテ料理を、そうではない方にはわかりやすいイタリア料理をお楽しみいただけるよう、さまざまなニーズに応えています。味付けは濃過ぎず、辛過ぎず、毎日でも食べたくなるマンマ(お母さん)の味を意識しています。
——最後に。今後について教えてください。
イタリアの文化をしっかり伝えられるお店でありたいと思っています。今、東京ではイタリア料理が細分化しています。将来的にはイタリア料理店ではなく、ピエモンテ料理をしっかり発信できるようなお店をめざしていきたいですね。
——ありがとうございました。
少し厳しいことを言うと、好きなことだからこそ頑張って欲しいと思いますね。近年はさまざまな情報が溢れているから、自分が置かれている環境以外のところに対して羨ましいと感じてしまいがちです。私たちの時代は情報がなかったからこそ、頑張ることができたのかもしれません。情報に惑わされることなく、自分の選んだ道を信じて進んで欲しいですね。一歩ずつちゃんと進んでいけば覚悟も決まり、その先の道筋が見えてくるはずです。頑張ってください。