家電メーカーの技術者として務めていた中川孝さんは、58歳のときに故郷である熊本県荒尾市に戻った。荒廃した風景を目の前にして、「なんとかしなけれれば」と思った中川さんの脳裏には、海外出張のときに見た広大なぶどう畑とワイナリーが浮かんだという。「ぶどうを植えてワインをつくるには設備投資もかかりますし、植えてから収穫まで数年かかってしまいます。50代後半という年齢で始めるには、ちょっとハードルが高いと感じ、オリーブを育てオリーブを使った商品を販売することを思いついたんです」と、中川さんは当時を振り返る。現在、3ヘクタールの広大な農園には、20品種1000本以上のオリーブの木が植えられている。3年前からは収穫も始まり、オイルや塩漬けなどの商品の製造・販売も始まった。2017年7月には、敷地内にオリーブの実やオイルなどを使った料理を提案するカフェレストラン「 ◯megane」をオープン。決してアクセスのいい場所ではないが、この場所をめざして訪れる人で賑わっている。