ナカムラを卒業後、ホテルの中国料理部門で11年間の修業時代を過ごし、30代になってからはチェーン店のマネジメントや新店の立ち上げを経験したオーナーシェフの山北裕児さん。「30代は思いっきり働きました。ずっと走り続けていたある日、祖母やスタッフ、修業時代の師匠が相次いで亡くなってしまったんです。先輩方が『学んだことを継承していかないといけない』という話をされていたことに感銘を受け、独立することを決めました」。2015年4月、山北さんは満を持して『MANDARIN MARKET 文華市場』をオープンし、新たな一歩を歩み出す。テーマは「ベジタブル・チャイニーズ」。店頭のショーケースには、仕入れてきたばかりの糸島野菜や宗像産の台湾野菜が美しく並べられ、その種類の豊富さに驚かされる。「自分の親方が野菜をたくさん使う方でした。その方の影響もあり、旬の野菜をしっかり食べていただいて、野菜本来の味わいを感じる料理を提案したいと考えるようになりました」。近年は料理人を育成する活動にも積極的に取り組んでおり、福岡の中国料理界を牽引する一人となっている。