——藤木さんが料理人を志したきっかけを教えてください。
もともと手に職をつけたいと考えていましたが、高校生の頃にTV番組『料理の鉄人』を見て、料理人に憧れるようになりました。料理を学べる学校を探していたところ、九州でいちばん規模が大きく環境が整っているナカムラのことを知り、入学を決めたんです。学生時代はいい思い出しかないですね。和洋中全て学びますし、とにかく、多くのことを勉強させていただきました。
——卒業後は、どのようなキャリアを築いてきたのでしょう?
卒業間際まで進路が決まっていなかったのですが、当時の先生に相談したところ「パッパーレ」(福岡・姪浜)を紹介していただきました。4年ほど学ばせていただいたのですが、もっといろんなお店を見てみたいと思うようになり上京。有名店に入ることができたのですが、身体を壊してしまって。1年ほどで実家に戻ることになりました。将来的には自分の店を持ちたいという想いがあったので、このタイミングでデザートを勉強しておこうと、1年半ほど地元のケーキ店でパティシエとして働かせていただいた後、2ヶ月ほどイタリアで本場の料理を食べ歩きました。帰国後は福岡市内のイタリア料理店を経て、東京時代の先輩からの誘いで再び東京へ。独立を意識し、経営のことなども学んだ後、2017年10月、この店をオープンさせました。
——独立するにあたって意識したことはありますか?
「パッパーレ」のシェフから「一人ですることを考えた方がいいよ」というアドバイスをいただいたので、一人でできる範囲のお店にしようと考えていました。というのも、福岡に限らず、飲食業界は人手不足ですし、アルバイトもなかなか見つからないとわかっていましたから。最初からその想定で組み立てたので、無理なく仕事ができています。
——料理に関してはいかがでしょう?
イタリア料理といえば、地産地消やスローフードといった考え方があります。私もこの土地の食材で、食材そのものの良さを活かした料理をご提供したいという想いがありますね。九州は食材が豊かです。また、休日は九州各地を巡り、生産者を訪ねています。まだまだ知らない食材などもあって面白いですね。
——福岡はどのような街だと感じていますか?
ジャンルを問わず、安くておいしいお店がたくさんありますよね。福岡は他の土地に比べると平均点が高いと感じています。実力店がたくさんある中で、お客様から選ばれるにはどうすればいいかを考えると、やはりお客様の記憶に残り、また来たいと思っていただけるお店であることが大切だと考えています。記憶に残る料理であることはもちろんですが、お得な会員制を取り入れるなど、お客様との繋がり続けられるような店づくりをめざしています。大切なのはお客様に喜んでいただくこと。空間や雰囲気も含めて、「イタリア食堂SORA」というお店そのものを楽しんでいただきたいですね。
——ありがとうございました。