——柴田さんが料理人を志したきっかけを教えてください。
子どもの頃から父の仕事を見てきました。ほかの仕事を見たこともなく、自然な流れでいずれは自分も料理人になるんだなと思ってました。
——ナカムラを選んだ理由は? また、学生時代の思い出を教えてください。
先代の頃の料理長がナカムラの卒業生でした。ほかの調理師たちもナカムラ出身者が多く、ナカムラで学ぼうと思ったのも自然な流れでしたね。専門学校という場所は、同じ道を志している仲間、目標を持って頑張っている仲間に出会える場所でした。同級生たちとは今でも連絡を取り合っています。和食や洋食の同級生に電話して、食材のことや調理法のことを聞くこともありますよ。
——卒業後はどのようなキャリアを築いてこられたのでしょう。
熊本ホテルキャッスルに就職し、四川料理の父と呼ばれる陳建民さんの愛弟子である斉藤隆士さんのもとで8年間学ばせていただき、「五福」に入社しました。
——料理人として心がけていらっしゃることはありますか?
常に考えているのは「面倒なことほど大事だ」ということです。美しく切り揃えるといった細かくて丁寧にしなければならない作業は、面倒なことではありますが、そのようなことほど大事なことで、仕上がりが全く変わってきます。中国料理は8、9割仕込みで決まるといっても過言ではありません。
——店づくりのこだわりはありますか?
地域に根ざしたお店ですので、子どもさんや年配のお客様も多く来てくださるのですが、私が得意とする刺激的な四川料理だけではなく、幅広いお客様が安心してお召し上がりいただけるような料理をご提供させていただいています。これからも幅広い世代のお客様が楽しく笑顔になれる中国料理を作っていきたいですね。
——柴田さんは日本中国料理協会の役員をされていらっしゃいます。中国料理業界について、どのようにお考えですか?
若い料理人の方たちは、幅広い経験を重ねて自分の引き出しを増やして欲しいと思いますね。中国料理の世界は横や縦の繋がりが強いので、店や地域を超えてコミュニケーションを図りながら、業界全体がもっともっと盛り上がってくれることを望んでいます。
——今後の展望について教えてください。
料理の美味しさはもちろんですが、時代の潮流を見ながら地元の皆さんに愛され続けるお店をめざしていきたいと考えています。自分一人で悩んでいても答えがでません。そういうときにいろいろ相談できる仲間がいるというのは、本当にありがたいことです。
——ありがとうございました。
学生時代は学べることを全て学んでおくこと、そして、遊んでおくことが大切です。というのも、就職してしばらくは仕事を覚えることに没頭しなければならない時期があります。仕事が終わった後に食べたり飲んだりすることは学びに繋がります。幅広い経験を重ね、一歩ずつ成長していってください。