——細永さんが料理人を志したきっかけを教えてください。
高校を卒業後、大学に進学しましたが、居酒屋でのアルバイトがとても楽しくて。飲食業界に進もうと考え、大学を中退し、なかむらナカムラに入りました。
——当時はどのような学生だったのでしょうか。
アルバイトが面白かったことでこの道を志したので、アルバイトばかりしていました。深夜まで働いていたので、昼間はやる気がなくて、よく怒られていましたね。1年生から2年生に上がるのが難しいと言われたのですが、担任の先生のおかげでなんとか上がることができました。とても感謝しています。
——卒業後はどのような道へ進まれたのですか?
社員食堂を運営する東京の企業に就職しましたが、やりたかったこととは違うと感じてしまって。ちょうどその頃、東京で博多とは異なる、鶏そのものを楽しむ関東スタイルの焼鳥に出会い、技術を身に付けられる仕事をしたいと、東京の名店「焼き鳥 床島」へ。約5年間、勉強させていただきました。
——「焼き鳥 貴」のコンセプトを教えてください。
私が感動した“鶏を楽しむ”関東スタイルの焼鳥を福岡の人にも楽しんでいただきたいという想いでオープンさせました。定番から希少部位まで常時約25種類の部位をご用意し、お客様からのストップがかかるまでおまかせでご提供させていただいています。オープンから現在までに10種類以上の鶏を使ってきましたが、現在は高知の農家さんから直接送っていただいている「はちきん地鶏」を中心に、「日向鶏」「さつま知覧どり」「黒さつま鶏」を使わせていただいています。
——なぜ4種類の鶏を使われているのですか?
「はちきん地鶏」はいい意味でクセがなく脂が控えめで、鶏本来の味が楽しめるとても美味しい地鶏です。ただ、部位によっては食べづらいものもあり、この部位はこの鶏の方が美味しいと思うものは、そちらを使うようにしています。
——日々の仕事の中で心がけていることを教えてください。
仕込みの手を抜かないことですね。焼鳥は盛り付けをすることはなく、お皿に乗せるだけのシンプルなものです。そのため、火の入り具合も計算し、焼き上がりをイメージして下処理を行ない、串を打っていきます。味はもちろん、見た目の美しさにもこだわっています。
——最後に。今後の展望をお聞かせください。
「焼き鳥 貴」がもっと有名なお店になるよう、これからも頑張っていきたいと思います。
——ありがとうございました。
卒業して気づいたのは、「栄養学」や「衛生学」など座学の大切さでした。実社会に出て初めて、それらの知識の必要性を感じ、改めて学び直すことになってしまったのです。学生時代にもっと真面目に学んでおけばよかったと後悔しました。在校生の皆さんには、座学もきちんと学んでおくことをおすすめします。