――パティシエを志したきっかけを教えてください。
中学生の頃、姉と一緒にバレンタインデーのためのトリュフを作っていて、「自分の方が上手じゃない!?」と思って楽しくなったことがきっかけです。その後、チーズケーキを作ろう!とパソコンでレシピを調べて家族に食べてもらったら「美味しい!」って言われたことが嬉しくて。以来、中学・高校時代はお菓子を作っては学校に持って行き、友人に振る舞っていました。
――ナカムラを選んだ理由は?
高3になって、進路を決めなければならなくなり、自然な流れでお菓子を学べる学校へ進もうと考えました。いくつかの専門学校の資料を取り寄せて見ていたところ、資料も見やすくてナカムラが良さそうだなと感じました。そこからさらに調べていくうちに、ナカムラが有名ということがわかって、両親に「ナカムラに進学したい」と相談したんです。料理人だった父は早い段階で腰を痛めてしまって、料理人を諦めてレストランのホールを担当していました。そういった経緯もあって、「反対はしないけど、厳しい世界だよ」と言われましたね。
――学生時代で印象に残っていることを教えてください。
3ヶ月間のフランス留学が印象に残っています。楽しい想い出ばかりだったのですが、今振り返ると、もっと真剣に取り組めばよかったなともったいなく思ったりもします。なかなか機会はないですが、いずれまたフランスに行きたいと思っています。
――卒業後のキャリアを教えてください。
卒業後は、中間市にある「パティスリー ミュゲ」に就職しましたが、1年ほどで退職することになってしまったんです。地元の田川に戻り半年ほど経ち、そろそろ何かをしなくちゃと考えたときに、自ずとお菓子の世界に戻りたいと思いました。地元・田川の「西洋浪漫菓子 萬平浪漫」へ行き、求人は出ていなかったもののダメ元で「働かせてください!」とお願いしたら、タイミングよく採用していただき、7年ほど働かせていただきました。
――『つむぎ洋菓子店』はどのようなお店ですか?
お客様にとって大切な人とお客様を紡いでいきたいと考えていたので、最初から“つむぎ”という言葉は入れようと思っていました。お誕生日などの特別な日だったり大切な人へのお土産だったり、お勉強を頑張ったお子様へのご褒美だったり、日々のおやつだったり。さまざまなシーンで使っていただけると嬉しいですね。
――政時さんが心がけていることはありますか?
できるだけ新鮮な素材を使うことと、手は抜かないことですね。たとえば、私はケーキのフィルムを巻くときに先端までキレイになるよう心がけています。というのも、私たちにとっては何十個のうちの1つでも、お客様にとってはその1つが自分へのご褒美だったり、誰かへのプレゼントだったりもするので、一つひとつ細かなところまで気をつけるようにしています。
――最後に。今後の展望を教えてください。
これまで以上に地域に関わっていきたいと思いますね。今までも地域の行事などに出店することもありましたが、今後は地域の子どもたちにお菓子教室をしたり、子どもたちを寝かしつけた後のお母さんたちがくつろげる夜カフェをしたりと、いろいろやってみたいと思っています。また、社員さんもアルバイトさんも『つむぎ洋菓子店』で働けてよかった!と感じてもらえるようなお店づくりをしたいと考えています。
——ありがとうございました。
在学中、座学の時間は寝ていました。卒業後、現場に出てみて気づくんです。「あのとき、もっと勉強しておけばよかった」って。新たに商品を考えるときとか、失敗したときの原因が何なのかを考えるときなどに、「あぁ、あのとき教わったことが大事だったな」と気づきます。なので、在学中の方は、座学もしっかり学んでください。