−−ナカムラを選んだ理由を教えてください。
福岡の調理専門学校といえば、ナカムラでしたから。

−−中華料理に進もうと思ったのはいつ、何がきっかけでしたか？
1年生のときでした。学校の近くにあった中華料理店で友人がアルバイトをしていて、お金がないときなどはそこでまかないを食べさせてもらっていました。また、中華の世界の話をたくさんしてくれて、自然と中華料理に興味を持つようになりました。

−−卒業後のキャリアを教えてください。
ヒルトン福岡シーホークに就職し、「中国料理 望海楼」へ。福岡の中華料理界で知らない人はいない中国料理の巨匠 知久（ちく）知明さんのもとでキャリアをスタートさせました。5年ほど勤めて、その後は「中華菜館 五福」などで研鑽を重ね、知久さんが「侑久上海」をオープンさせるタイミングで呼ばれ、マネージャーを務めさせていただきました。

−−いつ頃から独立を考えるようになりましたか？
「侑久上海」に8年ほど在籍していて、このままでもいいかなと考えていたのですが、39歳のときにふと独立しようと考えました。ここで失敗してもまだ40歳なのでやり直しがきくと考えたのです。

−−独立してみて、率直にいかがでしたか？
よかったと思っています。独立すると“お金”に直結するので、モノを大切にしますし、雇われのときはわかっていたようで今思えば甘さがありました。料理に対する考え方やお客様との接し方、店舗の運営の仕方など、かなり違いますね。

−−1階は惣菜を販売していますし、ユニークなスタイルですね。
はい。最初は反対されましたね。20年の経験があるので、もったいないと言われました。けれど、働くお母さんが増えている中で、お母さんは大変ですし、子どもにも安心して食べさせる料理を提供したいと考えました。プロが使う食材や調味料を使った惣菜は常時35〜40種を用意しています。また、14時からは前日までの予約制でコース料理（8品3500円〜）を提案しています。予約時にいろいろヒアリングして、お客様目線のコースを組み立てるのですが、食材のロスも減らせますし、価格も抑えることができています。